スペシャルレポート:【仙台市】まちなか農園 藤坂

つちの畑事例

【仙台市】まちなか農園 藤坂

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「まちなか農園藤坂」 は、仙台市が管理していた土地(道路建設予定地)を市民のコミュニティ活動のための農園として活用している事例である。コミュニティ活動に対する市の方針が先ずあり、その方針に合致する市民活動があった。公共の土地ではあるが、共同耕作地だけではなく個人が管理する区域も設け、それが参加者のモチベーションにつながり、コミュニティづくりの源泉となっている。地元リーダーの強いリーダーシップの元に運営されている。

調査概要

名称 「まちなか農園藤坂」(宮城県仙台市青葉区大手町)
調査日 2009年11月24日
調査担当 屋上開発研究会 松本薫、今野英山(記)
説明者 仙台市総合計画課主査 河西義人氏、花壇大手町町内会長 今野均氏、アーバンスコップ倶楽部代表 鈴木南枝氏

農園の立地情況

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告知の看板

仙台市が都市計画道路用地としての先行取得しながらも、道路建設計画が延期となっているために閉鎖管理を行っている土地を地元町会組織が借り受けている。

敷地面積約830㎡、緩傾斜地である。仙台城(青葉城)と広瀬川の間に位置する地域で、周辺は閑静な戸建て住宅地が広がっている。

農園施設の概要

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栽培情況

10㎡/区画の個人が管理する区域が19区画ある。開設当初は8区画からスタートして要望に応じて増加している。

共同耕作地が80㎡(個人耕作用増加に伴い減少)その他学校用として60㎡が確保されている。

一部に花壇と子供の遊び場を設け、参加者が集える四阿(あずまや)もある。全周をフェンスで囲んでいるが出入りはいつでも自由である。

開設の経緯

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擁壁の石垣を利用した土留

この農園の誕生は今から5年程前にさかのぼる。仙台市では平成17年度に新たな町づくり事業を模索して、調査研究を開始しそのテーマの一つとしてコミュニティファームを取り上げた。調査研究には市役所の担当者だけではなく、市民研究員というかたちで一般の市民も加わり先進事例の調査などを行ない、議論を重ねたと言う。

平成18年、先ずケーススタディとしては仙台駅東口の「仙台駅東第二地区」が対象となった。ここは区画整理事業の減歩緩和用地であり、事業が終了する間の暫定利用ということで「アーバンスコップ・プロジェクト」を立ち上げた。この農園は面積わずか200㎡であるが、県内の農業高校の生徒や地元町会、職員研究員、市民研究員などが試行錯誤を重ねながら区画整理事業が終了するまでの間、1年半にわたって運営した。

平成19年、「仙台駅東第二地区アーバンスコップ」が閉鎖されたため次の候補地として、「大手町・花壇地区の都市計画道路先行取得地」を選定し、仙台市の研究予算を投入して農園造成を実施した。この地区は、ポケットパークなどのコミュニティ活動が盛んであり、地元関係者が「仙台駅東第二地区アーバンスコップ」の運営を視察・体験することで、何とかできそうだと自信を深めて手を挙げる形となった。

事業主体と行政からの支援

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堆肥作り

仙台市より町内会組織を中心とした「グランドデザイン作成委員会」が当該用地を無償で借り受け、「まちなか農園藤坂」を開設した。開設に当たっては仙台市の研究予算が充当された。ただし予算も限られていることから、地元の参加者が造成段階から作業に汗を流し開設にこぎつけた。このことはその後のモチベーションにも大きく関係することとなった。

仙台市は農園の造成費用として、200万円の研究費をあてている。

研究予算は運営費には充当出来ないので、街づくり予算からイベント費用に50万円/年の助成を出している。

当該用地を畑とすることに対して、行政としては特定の利益に繋がるのではないかという異論も出たが、「グランドデザイン作成委員会」が周辺住民の同意書をとりつけることで事業がスタートした。

「グランドデザイン作成委員会」には、「仙台駅東第二地区アーバンスコップ」で運営に関わったメンバーも参加している。

利用と運営実態

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個人管理区域

この農園には個人が管理する区域と共同管理の区域および学校用途の区域がある。共同管理の畑のみではモチベーションの面で限界があるため個人が管理する区域を確保した結果、参加者は造成段階から関わり全体の運営やイベントへ積極的に活動することに繋がっている。

全体の調整は「グランドデザイン作成委員会」が一括運営している。月1回の企画会議があり、年間計画やイベントの企画を行っている。万が一参加者同士のトラブルがあった場合には全て「グランドデザイン作成委員会」の責任者である今野町会長に一任することで混乱を避けている。

イベントとしては、石積みワークショップ、技術研修、杉焼き板ワークショップ、夏祭り、学校林見学、ものづくりワークショップ、観月祭、感謝祭、バラの花びら染め、などがある。その他有志の飲み会なども企画されている。

イベントでは「アーバンスコップ」のメンバーの他、「仙台駅東第二地区」でも参加した農業高校の生徒や地元の大学、新たに参加したNPOなどが加わり盛り上がっている。

農業生産のノウハウを得るために農家の人に指導してもらっているが、その対価として農作物の即売をやっている。双方の利益につながり、農村とのネットワーク作りに役立っている。また、近接の高齢者施設の老人も指導員となっている。

こうした活動に対して、盲人支援のNPO等も徐々に参画して活動の輪が広がっている。県外の山形県朝日町との交流もありバスツアーも実施している。

各区画利用料は実費の500円/区画/月。町内会費から運営費と仙台市の街づくり予算からイベント費用に50万円/年の助成を受けている。

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リーダーの今野町会長と雨水貯留槽
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フェンスに囲まれているが出入りは自由
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花やハーブ愛好者のためのコーナー
摘要

仙台市の町づくりの方針があり、それに合致する受け皿があったのであるが、今後同様のプロジェクトが続くかどうかは未定である。公共の遊休地を活用するための制度はどの自治体でも未整備であり、関連する制度を解釈によってうまく活用したといえる。また、都心部で農園を運営するには熱心なNPOやボランティアの力に負うところが多い。

※ 当サイトは、自治体や企業、個人などが管理している遊休土地、空き地、ビルの屋上などの農園化、菜園化を推進する、NPO法人屋上開発研究会による「都心型農園」のPRサイトです。
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